UOL Vizicsacsi選手の公式インタビュー「チェスが教えてくれた、リーグオブレジェンドで勝つ方法」
UOLのTOPレーナー、Vizicsacsi(チャーチ)選手のインタビューを日本語で紹介したいと思います。
チャーチ選手は「チェスプレイヤーとして強かった」というエピソードがあり、本インタビューでもチェスの話がたくさん出てきます。動画での話し方からも、頭が良さそうで、なんとなくチェスとか強そうな雰囲気が伝わってきます。
また当ブログの過去エントリで紹介しましたが、チャーチ選手はリワーク前の旧ポッピーでチームをキャリーしたというエピソードでも有名です。こちらも良ければご覧ください。
www.lolnote.net
※PoE選手は元UOLのMIDレーナーです。
ところで、インタビュー記事の紹介の前にIEM OaklandでのUOL優勝について手短に触れます。
IEM Oakland、UOL優勝おめでとう!
先日行われたIEM OaklandでEU代表のUOL(ユニコーンズ・オブ・ラヴ)が優勝しました。セミファイナルでNA代表の強豪チームTSMを破り、ファイナルで台湾代表の強豪チームFWを破るという快挙でした。
あのWildturtleがTSMに一時復帰した大会だっただけに、TSM敗退はファンにとってはショックな出来事でもありました。
※IEM優勝を喜ぶUOLチーム。EULCS司会のSjokzさんも嬉しそうです!
インタビューについて
元の動画はRiot Games公式のものです。IEM Oaklandとは関係なく、2016年のMSIが始まる前の頃のものです。
チャーチ選手は黒字で、オーナーのSheepyさんは青字で書き起こしました。
本編:UOLチャーチ選手のインタビュー「チェスが教えてくれた、リーグオブレジェンドで勝つ方法」
※ここからがエントリの本編で、チャーチ選手のインタビュー動画の日本語訳です
『僕の名前はKiss Tamasです。Unicorns of LoveのTOPレーナー、Vizicsacsiとしてのほうがきっとよく知られていると思います。この2年間僕はUOLでプレイしています。』
『僕はハンガリーのペーチ(※ハンガリーの都市名)で育ちました。僕は競争心が強く、いつも勝ちたがる性分でした。チェスをプレイしはじめると、ふつう最初はあまり上手くないのですが、僕は11歳の時、はじめてのコンテストで優勝しそうになりました。この良いスタートは僕が必要としていたもので、チェスを続けて、もっと多くのコンテストで勝てるように頑張るモチベーションが得られました。』
シ『僕らのチームにあのロシアのビッグプレイヤーのダイヤモンド(Diamondprox選手)がいたとき、ダイヤモンドはチャーチと1時間ほど(チェスで)勝負をしてたんだ。』
シ『こんなふうに写真撮影しようとしてたら、彼らがチェスの試合をしていたので撮影ができなかった。いつも僕らは荷物を外に出したり持ち入れたりしなくてはならなくて、彼らはそれらすべてのど真ん中でチェスの勝負をしていたんだ。』
『はじめは、僕はもっと(チェスを)真剣にやりたいと思っていました。(毎日)2、3時間のチェスをしたり、トライアルを受けて高レートのチェスプレイヤー達とも戦ってみた。そこでは多くのことを学んだけど、これは僕がやりたいこととは何か違うことに気づいてしまって、その後はただの趣味になりました。』
『チェスとLOLには同様の戦略要素があると思います。 チェスでは、オープニングと呼ばれるものがあって、それがあれば確実にゲームの最初の10~15手ぐらいを動かすことができて、敵のキングサイドとクイーンサイドにプレッシャーを与えて、中央の場をコントロールして、その後にもつながる強固なディフェンスを築いたりできる。LOLでもEarlyゲームを取れば、同じようなことになる。最初の5-6分間の動きのプランをあらかじめ立てておくことができる。』
『チェスでは犠牲のような概念があり、戦略上の優位や位置上の優位を得るために、高価値のものを捨てるのです。(LOLでは)チームが例えばドラゴンとかのオブジェクティブに向かうときは、MIDレーンのコントロールを諦めることになる。相手チームはMIDレーンの主導権を得て、敵をゾーニングして寄り付かせないようにして、場合によっては交換にタワーを取れたりします。』
『あらゆる競技性のあるスポーツやゲームにおいて非常に大事になことは自信です。自分の勝つための能力に自信がなければ、そのプレイヤーはきっと勝つことはできません。』
『僕にとって、ドイツにきたことはまったく新しい体験でした。ハンガリーにいたころは、自分の学業のことばかりでしたが、ここではすべてがビデオゲームを中心にして回っていて、僕にとってはまったく違う世界のようでした。今はこの環境を楽しんでいます。僕は実はあと数年はプレイしようと思っていますが、どうなるかはこれから分かることです。』
シ『僕がチャーチにはじめて会ったのはたしか2年前のことだ。チャーチは僕が一緒にチームを作りたいと思ったまさに最初のプレイヤーだ。これをやると決まってから、僕は一緒にプレイできるプレイヤーを探していた。チャーチは頭が良く、ゲームをよく理解していて、TOPレーナーとして非常に優れていた。』
『僕はいつも新しいことに人よりも早く対応できます。TOPレーンとその変更については、僕はなぜそうなったのかの理由を見抜いて理解することができる。そして僕なりの戦略を立てるのです。』
シ『チェスとLOLは非常に似ている。プレイ、テンポ、フィールドコントロール、エリアの把握、前進するパワー、中央のコントロールとかね。この理詰めなところが、チャーチの助けになっている。チャーチは人として理詰めタイプで、そこが彼の持ち味だ。彼は機能することを見つけて、それを再現して勝利のメソッドとして取り入れるんだ。』
シ『いいTOPレーナーになるためには、基本的に2つのスキルが必要だ。第一にストレス耐性だ。たくさん失敗してそこから学ぶのだから、続けるほど良いことがある。第二にミスをしたときに、素直な心を持つことだ。それが自分ではどうしようもないただのマッチアップによるものなのかどうか自分に正直になる必要がある。素直なプレイヤーは、必ず上達する。』
『(2015年の)Spring Splitで2位になったあと、僕たちはなんとなく世界大会へのチケットを既に手にしたような気分でいました。特に次のスプリットのプレイオフがはじまったとき、僕たちは3位になればいいだけな気がしていて、もしそれが上手くいかなくても、ガントレット(敗者復活トーナメントのこと)で勝ち進めばいいだけだと思っていました。』
※UOLがプレイオフで敗退するシーン。2015年の世界大会へ出場できず。
『しかし、僕たちはBo5を3つともすべて無残に落としてしまった。これはチーム全体にとって壊滅的なことでした。僕たちは大きな問題を抱えていることに気づき、たくさんのことを変更しなくてはならなかった。その点では、今回のSpring Splitでは僕たちは成長したと思います。』
『今は自信を持ってプレイオフに臨むことができます。僕たちの目標は当然全てのゲームに勝つことです。MSIに旅立てるし、サマーとスプリングスプリットの間の休暇を有意義にすることができる。世界大会に出場するためには、これがベストな流れだと思います。』
『チェスで高レートのプレイヤーと対面すると、きっとその相手に勝てる気がしなくなります。相手のほうが上手なプレイヤーであり、自分でもそう思い込んでしまうのです。でも、そんなことは関係ありません。僕たちはただ隣り合わせに座って、対面しているだけの人間にすぎません。そう考えてはじめて、ゲームに勝つために集中することができます。』
『常にチャンスを探し続けないといけないし、そいつに勝てる自信を持たなくてはなりません。たとえ紙の上では相手のほうが強いプレイヤーだったとしてもです。』
※インタビュー動画の日本語訳はここまでです。
おわりに
本インタビューのタイトルは「チェスが教えてくれた、リーグオブレジェンドで勝つ方法」としました。チャーチ選手がチェスで学んだことを活かして、どんなふうにLOLに取り組んでいるかが語られているためです。
ところで話は変わりますが、ちょうど今朝のEスポーツニュースサイトでUOLの話題がありました。プロプレイヤーの給与が高騰しているという話ですが、UOLの選手はたとえ他チームより給与が低くてもUOLに残ることを選ぶそうです。IEM優勝写真からも伝わってくるように、チームの雰囲気が非常に良さそうですよね。
チャーチ選手のモンテージュ貼っておきます。
IEMでTSMを破ったあとのパフォーマンスも貼っておきます。
TSMを破ったあとのUOLマネージャーが『NA < EU』と煽ったけど、パフォーマンスとして面白くて、キャスターと観衆も笑ったという話whttps://t.co/IseKYKlnSx
— LMH@LOLノート (@lolnote_jp) November 24, 2016
いい感じの写真もぺたっ。